鮫島ゼミ3年生は稲城観光未来プロジェクトとして、稲城市観光協会の観光まちづくり活動を行っています。その一環でポスター制作を行いました。学生が実際に現地取材を通して考案したキャッチコピーも採用されました。
稲城は、ベッドタウンのイメージですが、実は東京都内有数の里山が残る地域です。
また東京オリンピックのロードレース会場となるほか、「尾根幹線道路」というロードバイクファンにとって憧れのサイクリングルートがあります。また東京都唯一のマウンテンバイクコースの「スマイルバイクパーク」もあり、自転車の町としても有名です。「丘の道サイクリング」と命名して、里山資源とサイクリングを稲城らしい地域個性として表現するポスターとなっています。
《キャッチコピーの背景》
「里山も澄んだ空もある稲城を、何もない町だと思っていた」
稲城に対するイメージを調査すると、そのほとんどがベッドタウンや住宅地というものでした。しかし、よくよく現地調査をすると実際には写真のような美しい棚田、ホタルもいる小川、豊かな森林が残されています。こうした里山資源は、未来の世代に受け継いでいくべき稲城の宝です。里山とは、自然と人間の調和の姿です。このポスターは、里山を保全するための観光を新しい稲城の理念として象徴するものです。里山保全のための観光とは、SDGsにも寄与する未来志向型観光とも言えます。
シビックプライドを生むシビックツーリズム
このキャッチコピーには、この理念を地域住民と共有したいという思いが込められています。稲城は古くから暮らす旧住民とベッドタウン化以降に移住してきた新住民がおり、その交流と世代交代が地域課題となっています。そうした課題を解決するための観光として「市民観光(シビックツーリズム)」を掲げています。一般的に、観光とは類まれな観光資源を魅力に外客を呼び寄せて活性化を図るものですが、稲城にはその類まれな観光資源がありません。そのような地域が京都やディズニーランドを目指すことには無理がありますし、ベッドタウンで無理にリゾート開発を行う必要もありません。地域の実情に合った観光の活用の仕方があるはずです。棚田、森、小川といった里山資源は、単に風景を楽しむだけではありません。森のようちえん活動や生物多様性教育など教育旅行、フットパスやクアウォルトなど健康に寄与するヘルスツーリズムなど様々な観光による利活用が考えられます。
その意味で、このポスターには「観光は、貴重な里山を守り、シビックプライドを醸成するためにある」ことを表現しています。それを実現するためには「里山が地域の宝である」ことを住民こそ知る必要があります。「灯台下暗し」と言われるように、人間は意外と自分の地域のことを知らないものです。特に都心へ通勤する住民はその傾向が強いと言えます。住民とこの理念を共有したい。そんな思いの上で、今回のキャッチコピーは考えられました。
《スポットの紹介》 濱陶器・坂濱ベースと棚田
この写真の棚田は、駒沢女子大学から徒歩5分くらいにある濱陶器の目前に広がる風景です。濱陶器は、稲城の土を利用した窯元でギャラリーもあります。この棚田では今でも稲作が行われています。京王相模原線稲城駅からも徒歩15分くらいです。
《モデルの紹介》
モデルは、自転車ファンが集うクロスコーヒーのオーナーである棈木さんです。JR南武線矢野口駅からすぐです。ぜひ訪れてみてください。
(以上)
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